《ブラジル》右派と左派集団が乱闘騒ぎ=ボウロスがあわや逮捕に

職務質問を受けるボウロス氏(Twitter)

 25日、サンパウロ市パウリスタ大通りで、保守派政治団体「ブラジル自由運動」(MBL)と急進左派政党の社会主義自由党(PSOL)との間で乱闘騒ぎが起こった。25、26日付現地紙、サイトが報じている。
 騒ぎが起こったのは25日15時頃、PSOL下議候補のギリェルメ・ボウロス氏の一行がキャンペーンで歩いていた際、MBL所属のユーチューバーで15歳の少年が携帯電話のカメラを向けて近づいて、ボウロス氏に「あなたは民主主義を守ると言いながら、なぜキューバの独裁を容認するのか」と尋ねた。すると、少年は携帯電話を奪われ、ボウロス氏の一行から押し倒されるなどの暴行を受けた。少年は「顔を数度殴られた」とも証言している。
 同件は少年が動画をあげて公開したことで拡散。暴行を受けた瞬間は映っていなかったが、PSOLの誰かが暴力を振るったことは明らかだった。このため、MBL側は「PSOLが少年を襲った」と問題視し、少年親子が被害届を提出。訴訟もほのめかしている。
 ボウロス氏は事件直後に警察から職務質問を受け、連行されそうになったが、それは起きなかった。弁護士のアリエル・デ・カストロ・アウヴェス氏は、「暴行は調べられる必要があるが、周囲にいた人物による暴力でボウロス氏が逮捕されるとしたら違法だ」と反論している。また選挙法では、投票日から数えて15日前からは逮捕拘束されない特権が候補者には付与されている。
 ボウロス氏は「MBLが未成年の少年を送り込むという卑怯な行為で挑発してきた。携帯電話を奪おうとしたことで混乱が生じた」と説明している。
 この事件は、サンパウロ市内で続いている右派と左派の対立に起因している。MBLは保守派の政治市民団体で、2016年のジウマ大統領の罷免運動を盛り上げた団体だ。一方、PSOLはサンパウロ市で強い地盤を持ち、セン・テットのリーダーでもあるボウロス氏は2018年の大統領選に出馬、20年のサンパウロ市市長選では次点など、強い影響力を持っている。

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