《ブラジル》最高裁大法廷が銃規制緩和の大統領令差止め=判事投票2―9で大統領完敗=選挙の安全性を優先

最高裁(Fabio Rodrigues Pozzebon/Agencia Brasil)

 5日にエジソン・ファキン判事が出したボルソナロ大統領による銃規制緩和の大統領令の一部を差し止める司法判断に関する最高裁大法廷の投票が16~20日に行われ、判事投票9―2で差し止めが有効となった。これで統一選期間中を含む銃規制が強化されることになりそうだ。20、21日付現地紙、サイトが報じている。
 前選挙高裁長官でもあるファキン判事は5日、選挙期間中の政治的暴力増加を強く懸念し、ボルソナロ大統領が2019年に出した銃規制緩和の大統領令の一部を規制する司法判断を下した。大統領令では個人が所持できる銃や銃弾の数が大幅に増えていたためだ。
 この大統領令は発効当時から物議を醸し、最高裁でも毎年のように全体審理の議題にあがってきた。昨年も3件の訴状に基づく審理が行われていたが、9月の時点でボルソナロ大統領が指名したカシオ・マルケス判事が見直しを求めたため、審理が止まっていた。
 ファキン判事は5日、今後の新たな銃所持は「職業上の本職のみ」とし、所持の目的も「国防や治安に関する場合のみ」に限定。銃や銃弾の数も「治安上の目的に必要な最低限の数」と定めた。これらは、ブラジル社会党(PSB)と労働者党(PT)が求めた大統領令差し止め請求に答えたものだった。
 この司法判断には、ボルソナロ氏の大統領令による規制緩和で恩恵を受けていた収集家(コレシオナドール)やスポーツ射撃家(アチラドール)、狩猟家(カサドール)のいわゆる「CAC」と呼ばれる人たちから強い反発が起きていた。
 ファキン判事はなるべく早く全体審理にかけることを希望しており、「最優先事項」として、16〜20日にヴァーチャル形式で行われた全体審理で扱われた。
 審理は最初からファキン判事の判断を支持する形で進んだ。16日に報告官の同判事が「選挙期間中に暴力を引き起こす要因となりうる」などの見解から差し止めの継続を求めると、ルイス・ロベルト・バローゾ、ジルマール・メンデス、アレッシャンドレ・デ・モラエス、リカルド・レヴァンドウスキー判事が賛成。この日のうちに判事投票5―0となり、この時点で差し止め継続はほぼ決定的になっていた。
 20日に再開された審理でも、ローザ・ウェベル長官がファキン判事の判断に賛成票を投じ6票目。これで過半数を上回った。さらに、カルメン・ルシア、ルイス・フクス、ジアス・トフォリ判事が続き、司法判断支持は9票となった。
 これに対し、カシオ・マルケス判事が「銃規制緩和後の数年間で殺人事件の件数が減った」ことなどを理由にファキン判事の司法判断への反対票を投じ、アンドレ・メンドンサ判事も続いた。二人共、ボルソナロ大統領が指名した判事だ。
 今回の最高裁での敗北は、かねてから投票システムでは選挙高裁と、ネット犯罪対策ではモラエス判事と対立していたボルソナロ氏をさらに怒らせるものとなりそうだ。

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