戦没者と開拓移民先亡者を追悼=ブラジル靖国平安の会慰霊祭

祭文を行う西国理事長
祭文を行う西国理事長

 ブラジル靖国平安の会(西国幸四郎理事長)は8月20日、サンパウロ市リベルダーデ区のブラジル日本文化福祉協会(文協)貴賓室で、第2次大戦戦没者と移民先亡者への追悼慰霊祭を開催した。慰霊祭はパンデミックにより3年ぶりの開催となり、約30人が参加した。
 神事は南米神宮の逢坂和男宮司が執り行い、靖国神社に祀られている戦没者、移民先亡者らに1分間の黙とうが捧げられた。西国理事長が祭文を行い、その後、参列者全員で玉串奉奠を行った。
 挨拶に立った西国理事長は追悼と関係者への感謝を表した後、ウクライナ侵攻について触れ「他人事ではない。私たちの身にも起こるかもしれないし、自分たちの子孫が犠牲になることだってあるかもしれない。一人ひとりの反戦意識と祈りは世界を変えることができる」と語った。
 靖国神社の山口建文(たてぶみ)宮司から「一昨年より世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大し、私たちの社会生活に多大な影響を及ぼしている中で、3年ぶりに慰霊祭が齋行され、縁の英霊と開拓移民物故者の御霊が、愈々安らかにお鎮まりになられることを御祈念申し上げます。長年に亘り皆様方が祖先や先陣の労苦に思いを致し尊崇の念を捧げます事は、英霊や移民物故者の御霊にとりまして何よりお慶びの事と拝察申し上げます」とのメッセージが寄せられた。

会場の様子
会場の様子

 松柏大志万学院の卒業生を代表して西国(にしくに)山口文香(ふみか)さんが「若い世代に世界平和の意識を伝える努力をします。悲惨な戦争がもう二度と起こらないよう、どうか一緒に祈ってください」と追悼の辞を述べた。
 ブラジル靖国平安の会はブラジルサンパウロ靖国講を前身とし、今年改名した。松柏大志万学院創立者、川村真倫子氏は「平和と調和について意識し、自分の行いを省みる」という両団体の活動理念に共感を示し、子どもたちの間に同理念を広めてきた会の存在に敬意と感謝を表した。
 同会名誉理事長を務める石川レナト文協会長はニッポンカントリークラブ「アカデミーア・ド・フトゥーロ」の青年ら若年世代が慰霊祭に参加したことを喜び、「戦争には勝敗はありません。誰もが失い、負けるのです」と語った。
 童謡「ふるさと」を合唱後、直会で参列者全員にお神酒が振舞われた。慰霊祭後は、参列者たちにお茶と和菓子が振舞われ、参加者らは親交を深めた。

 

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