《ブラジル》パンデミック中に中国投資が3倍に=産業界からは不安の声も

ブラジル国旗と中国旗(Twitter)

 中国からブラジルへの投資額が2021年に前年の3倍になっていたことがわかった。8月30~31日付現地サイトが報じている。
 伯中ビジネス協議会が8月31日に発表した報告によると、2021年に中国がブラジルに対して行った投資は59億レアルだった。これは2020年の19億レアルの3倍(208%増)に当たり、ここ4年間で最大だ。
 2020年はパンデミックのため、中国からの投資が落ち込んだ年であり、2010〜17年は70億レアルを越す投資も決して珍しくなかった。それでもパンデミック前年の2019年の56億レアルも超えている。
 また、ブラジル向けの投資は中国が昨年行った国外投資の中で最大のものだ。中国は南米投資を進めており、21年は全体の投資額が前年比で3%しか増えていなかったのに、ブラジルを除く南米の他の地域への投資は30%も伸びていた。
 今回の投資額急増の背景には、ヌバンクやキント・アンダールのように急成長を遂げたスタートアップ企業への投資や、長城汽車によるサンパウロ州イラセマーポリスのメルセデス・ベンツ工場買収、サントス沖の岩塩層下油田の中国企業による落札などが含まれている。
 この発表はちょうど、大統領選期間中においてパウロ・ゲデス経済相や、ルーラ元大統領が口を揃えて中国のブラジル市場への強い影響を心配する発言を行っている最中に行われた。ゲデス氏は「中国がブラジル市場を席巻し、国内の工場や企業を壊さないかを企業家は案じている」と語り、ルーラ氏は「中国製品がブラジル市場を独占しないか、企業家は強く懸念している」と語っている。
 伯中ビジネス協議会コーディネーターのトゥーリオ・カレリオ氏によると、「ブラジルが中国からの投資に頼るのは、国内の工場で中国産資材が不可欠だからだ。それを使うことでコストを下げ、競争力を高める必要がある」という。同氏は中国がブラジル市場を壊すことはないとも語っている。

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