《ブラジル》ボルソナロ一家が不動産51軒を現金払い判明=ラシャジーニャ疑惑再燃か=大統領選で手痛いスクープ

ボルソナロ氏と息子たち(Twitter)

 ボルソナロ大統領の一家が、1990年代から購入した不動産のうち、半分近くの51軒を現金で購入していたことが判明。再選を目指すボルソナロ大統領にとって大きなマイナス要因になる可能性がある。8月30、31日付現地紙、サイトが報じている。
 これは、8月30日に報じられたUOLサイトの独占スクープで明らかになった。同サイトは、ボルソナロ一家が1990年代から現在までに購入した107軒の不動産に関する270件の資料(計1105頁)を7カ月間かけて調査した末に得た結果として報じた。
 これらの不動産の約半分にあたる51軒を現金購入していたという。現金での支払い額は総計1350万レアルで、広範囲消費者物価指数(IPCA)でインフレ調整して現在の貨幣価値に直すと2560万レアルに及ぶという。
 また、小切手か銀行送金で購入した物件が30軒あり、計1340万レアル(現在の価値で1790万レアル)を支払っていた。支払い方法が確定できなかった物件も26軒あり、98万6千レアルが支払われていた。
 これらの不動産のうち、少なくとも2003年以降に購入した25軒は、現金購入か否かには関わりなく、金の出所が不明などの理由で捜査対象になっているという。それらの物件はリオやブラジリアに存在する。
 ボルソナロ氏は1989年にリオ市議となり、1991年に下議となった。1999年までに一家が購入した不動産は12軒に過ぎなかったが、購入や売却を繰り返し、購入総数は107軒に膨れ上がった。現在も56軒の不動産を所有している。その所有者は、ボルソナロ氏や年長の息子3人、前妻2人、サンパウロ州在住のボルソナロ氏の兄弟5人で、すでに逝去している母親の名義のものもある。
 ボルソナロ氏は8月30日、この報道を受けて取材した記者に対し、「不動産を現金で買うことの何が問題なんだ」と聞き返した。この時点ではまだ、大統領は記事を読んでいなかった。
 現金での支払いは銀行の口座記録に残らないため、不正に受け取った金を洗浄するのに使われやすい。口座での金の不審な動きは金融活動管理審議会(COAF)などで確認されやすい。
 ボルソナロ一家の場合、長男のフラヴィオ上議がすでに、リオ州議時代に、父の長年の友人で元専用運転手のファブリシオ・ケイロス氏とその一族、ボルソナロ氏の二番目の妻のアナ・クリスチーナ氏の一族を幽霊職員として雇い、その給与の大半をケイロス氏の口座に現金で振り込ませた「ラシャジーニャ(ピンハネ)疑惑」が2018年に判明。また、ボルソナロ氏自身も元職員4人が給与の72%を受領早々に引き落としていた事実が判明しており、次男カルロス氏にも同様の疑惑が持たれている。
 フラヴィオ氏のラシャジーニャ疑惑は高等裁で有利な判断が出て裁判沙汰になることを防げている。だが、今回の報道はこの騒動を再燃させる可能性がある上、大統領選での対立候補たちに攻撃材料を与えるという点で手痛いものとなった。

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