《ブラジル》国連ウクライナ派遣調査団長にサントス・クルス氏=元国連部隊隊長、疑惑の収容所爆破事件を解明

サントス・クルス氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 ロシアによるウクライナ侵攻は24日で6カ月が過ぎた。7月29日に起きたウクライナ東部の捕虜収容所爆破事件に関する調査のために、国連が派遣する調査団の団長にブラジル陸軍のサントス・クルス予備役中将が選ばれたと18日付ブラジル国内サイトが報じた。
 捕虜収容所攻撃は国際法に違反する戦争犯罪で、ウクライナ兵やマリウポリ市のアゾフスタル製鉄所で働いていた戦闘員ら53人が死亡した上、少なくとも75人が負傷したとされている。だが、ウクライナ側がロシアによる戦象犯罪とする一方で、ロシア側はウクライナ軍が攻撃したとの主張を繰り返しており、責任の所在は不明のままだ。
 調査団派遣は両国からの要請を受けたもので、カルロス・アルベルト・ドス・サントス・クルス氏を調査団の団長にという話は18日に国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏が明らかにした。
 ウクライナとトルコの首脳との会談後の取材に応じたグテーレス氏は、ウクライナのゼレンスキー大統領も同席する中、戦争捕虜の保護は国際法に定められており、ウクライナ東部ドネツク市のオレニフカ収容所で起きた爆破事件は受け入れ難いと述べると共に、同件の調査はサントス・クルス氏の指揮下で行われると明言。
 調査には諸国からの介入は行われず、調査団や国際赤十字には当該地域や収容者への自由なアクセスが保証されるべきと強調した。
 サントス・クルス氏の指名は、国連が同氏の実績を高く評価している事を示す。同氏はブラジル陸軍予備役中将で、現政権で半年弱、大統領府秘書室長官を務めた。その後、ボルソナロ大統領と袂を分かち、批判する側に回り、当時ライバルだったセルジオ・モロ氏の顧問のような役割もしていた。
 だが、それ以上に評価されているのは国内外の治安維持のために40年以上従事して来た事。特にハイチとコンゴに派遣された国連の平和維持部隊(PKO)の隊長を務め、その平和維持部隊についてのレポートも国際的に認められている。
 サントス・クルス氏は18日、ブラジリアでのインタビューに、「たった今、グテーレス事務総長がウクライナでのミッションの団長に私を指名したと聞いた。非常に光栄な事で、国連が選ぶ同僚達もクオリティの高い人物であると確信している。人選は今回のミッションで扱う案件で肯定的な結果を得るための鍵だ」と語った。

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