《ブラジル》サル痘感染者が2400人超に=保健省は緊急レベル3へ=無関係の猿殺害事件まで発生

サル痘のウイルス(CYNTHIA S. GOLDSMITH)

 【既報関連】ブラジルでのサル痘の感染拡大が止まらず、10日の報道では2415人となり、保健省が緊急レベルを3に引き上げたと9~12日付現地サイトが報じた。
 保健省が定めた緊急レベルは世界保健機関(WHO)の基準に準じたもの。3段階中の3は統一医療保険システム(SUS)の管理上、様々な分野に影響を与える国家レベルの脅威で、政府の幅広い対応が必要とみなされる。
 緊急レベル引き上げは、保健省がサル痘には最大限の注意が必要である事を全ての機関に警告を発し、厳戒警戒体制を敷いた事を意味する。
 緊急レベル引き上げの理由は感染者急増と市中感染確認、治療薬がない事など。新型コロナのパンデミックで宣言した「国家的に重要な公衆衛生上の緊急事態(Espin)」ではない。
 だが、状況が深刻化すればEspinを宣言する可能性もあるという。保健省は濃厚接触者などに使うためのワクチンを購入したが、第1陣が届くのは9月だ。
 保健省のサル痘に関するサイトは感染状況が更新されていないが11~12日も、8日は93人だった連邦直轄区の感染者が11日は102人に増加、アマゾナス州で市中感染確認、リオ・グランデ・ド・スル州の感染者が31人に増えたなど、感染報告が続いている。感染者の約70%はサンパウロ州で確認されており、複数の州では子供の患者も確認されている。
 同性愛者や多くの人と性交を行っている人に患者が多いとの報道後、性交相手を減らすようにとの勧告も出るなど患者への偏見が広がっている。だがWHOはウイルスにさらされれば誰でも感染し得ると警告している。
 サル痘の症状は一般的に軽いとされているが、リオ連邦大学のクラリッサ・ダマス教授は、コンゴでは患者の23%が結膜炎などの眼疾を起こしており、失明しかけた例や脳炎を起こした例もあるとして注意を呼びかけている。眼疾患者は子供が多く、吐き気や喉の痛みなども訴える例も多いという。
 なお、サンパウロ州で起きたサル殺害事件後、現在のサル痘流行は人から人への感染であり、サルのせいではないとして、病名を変える動きも出ている。

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