4世受入れ制度の条件緩和要請=日系5団体から自民党議連に=年4千人枠に3年で百人余り

説明する梅田氏(NAGOMIサイトより)
説明する梅田氏(NAGOMIサイトより)

 「日系4世の更なる受け入れのための制度改正に関する要望書」が日系5団体の代表者署名付きで5月25日、林禎二駐ブラジル日本国大使に提出された。
 要望書は、「外国人材共生支援全国協会(NAGOMI)」の副会長、梅田邦夫氏(前駐ベトナム大使・元駐ブラジル大使)が、6月13日に東京で行われた自民党の第2回グローバル人材共生推進議員連盟(平沢勝栄会長)総会の場において、有識者ヒアリングとして総会参加者に内容の説明を行った。同総会には法務省、厚労省、外務省の担当者も出席した。
 要望書にはブラジル日本文化福祉協会の石川レナト会長、サンパウロ日伯援護協会の税田パウロ会長、ブラジル日本都道府県人会連合会の市川利雄会長、日伯文化連盟の吉田エドアルド会長、国外就労者情報援護センター(CIATE)の二宮正人理事長が署名している。骨子は次の通り。
 ①日系4世受け入れサポーター制度の拡大
 現状では受け入れサポーターに多くの負担や労務が課せられているが、サポーター資格が「国際交流又は地域社会への奉仕を目的として活動する非営利法人」に限られているため、なり手が少ない。受益者負担の観点から、日系4世を雇用する企業・団体もサポーターになれるように制度の改正を訴えている。
 ②家族帯同の許可
 ブラジル人にとって家族は最も大切な存在であり、帯同が禁止されている条件は、日本行きを断念せざるを得ない最大の要因とし、一定の条件を満たす場合は家族帯同を認めてほしいとしている。
 ③年齢制限の緩和・撤廃
 「年齢制限を設ける根拠はなく、年齢制限の撤廃、あるいは大幅な引き下げをお願いしたい」とした。

グローバル人材共生推進議連の皆さん(NAGOMIサイトより)
グローバル人材共生推進議連の皆さん(NAGOMIサイトより)

 さらに、金融危機後に帰伯した4世の中には、日本で高校卒業した者も多数含まれている。日本人と同じように言葉を話し、文化を理解しているにも関わらず、家族関係で帰国を余儀なくされた者の中には、ブラジルに戻っても環境に慣れることができず、日本へ戻りたいと強く希望する者がいる。「このような本邦滞在歴のある4世については、年齢制限を撤廃して頂くよう配慮いただきたい」とした。
 ④日本語要件の緩和・撤廃
 現状では日本語能力試験N5レベルが必要とされているが、試験実施は年2回のみであり、「国際交流基金が認定する日本語講座の修了者には日本語能力を認めるなど、日本語能力試験以外の方法を検討頂きたい」と要望した。
 また日本で学校教育を受けた4世に関しては、日本語能力を有することは疑いようがないことから同要件の撤廃を訴えた。
 ⑤日本での生活習慣等の習得機会の提供
 「日本入国前または入国直後に、日本の生活習慣を学ぶ機会を提供いただきたい」とした。
 ⑥説明セミナーの開催
 4世ビザ制度の周知普及を図るため「オンラインを活用するなどして、ブラジル在住の日系人を対象とした、本制度普及のためのセミナーを開催いただきたい」と要望した。
 署名者の一人、二宮CIATE理事長は本紙の取材に対し、「下地幹郎先生のおかげで4世ビザ制度ができたが、年間3、4千人枠のはずが3年経ってもわずか100人余りしか行けていない。明らかに条件が厳しすぎる。在日の2、3世も高齢化してきた。4世が厳しいままでは、日系人が日伯の絆の役割を果たせない。ぜひ緩和をお願いしたい」と強調した。
 自民党の「グローバル人材共生推進議連」の会合では梅田氏から、技能実習制度や特定技能に関し「新たな提案」が行われ、人権侵害対策、借金対策、偽造書類対策、日本語学習等が重要である旨が強調された。

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