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最新「ヴェージャ砲」は下院証言で炸裂するのか

2022年7月8日

1日発売のヴェージャ誌(Facebook)
1日発売のヴェージャ誌(Facebook)

 「文春砲」という言葉が日本にある。これは政府や芸能界の特ダネスキャンダルをスッパ抜く週刊誌『週刊文春』の報道が、社会に砲撃を食らわせた様な衝撃を与える様を評して生まれた言葉だ。
 ブラジルにも『週刊文春』に似た存在がある。週刊誌『ヴェージャ』だ。同誌も政界の特ダネスキャンダルをよく報じ、さながら「ヴェージャ砲」を撃っている。同誌は1992年にコーロル大統領罷免につながった同大統領の汚職関与疑惑や、2005年の当時最大の政界スキャンダルと呼ばれたメンサロン事件を報じた。
 「ヴェージャ砲」は大統領選期間中に飛び出すことが半ば恒例化しているため、国民の中にもそれを待っている人がいる。そんな中、ヴェージャ砲第1弾らしき報道が1日に行われた。
 内容は2つ。1つは「労働者党(PT)が州都第一コマンド(PCC)とつながり、資金洗浄を行っていた」。もう1つは「ルーラ元大統領がセウソ・ダニエル氏の殺害を命じていた」というものだ。
 PCCは聖州を拠点とする国内最大級の犯罪集団。セウソ・ダニエル氏は2002年1月に暗殺された大サンパウロ市圏サントアンドレ市長だ。セウソ氏殺害事件は真犯人が明らかになっていないブラジル政界史上最大のミステリーとされている。
 ネタ元はメンサロン事件で実刑判決を受けた賭博師マルコス・ヴァレーリオ容疑者がラヴァ・ジャット事件の際にした証言だという。事実であれば、極めてスキャンダラスな内容だ。
 しかし、この「ヴェージャ砲」をフォーリャ、エスタード、グローボ、コレイオ・ブラジリエンゼといった新聞大手、UOL、メトロポレスといったニュースサイト大手、テレビの最大局グローボ局はとりあげなかった。わずかにCNNブラジル局やレコルデ局がわずかにとりあげただけだ。
 ヴェージャも盛り上げたいところだったが、周囲の反応の薄さからか自身のサイトでも特別に取り扱うようにはしていない。現状、ボルソナロ大統領の支持派のみがSNS上で盛りあがっているだけで、社会全体への波及はいまひとつだ。
 なぜ「ヴェージャ砲」は炸裂しなかったのか。それはこの証言そのものが2018年のものと古く、以前にも小さくだが、同内容が漏れ報じられていたからだ。新発見や決定的な証拠も無く、とりわけ今は選挙期間中のフェイクニュースの取り締まりが厳しくなっているから大手メディアも手を出そうにも出せない。コラム子の目にも「ヴェージャにしては、今までになく雑だな」と映った。
 報道は大きく目立ってはいないが、ボルソナロ大統領派の主張もあり、ヴァレーリオ氏はとりあえず下院で証言を行うことになりそうだ。果たしてここで「ヴェージャ砲」が炸裂するのか。(陽)


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