エスペランサ婦人会が解散か?=関係団体に通知、事務所整理も

文協ビル5階奥にあるエスペランサ婦人会の事務所
文協ビル5階奥にあるエスペランサ婦人会の事務所

 1949年8月に創立し、日系社会の中でも70年以上の歴史を持つエスペランサ婦人会(倉持恵美子会長)が解散の危機に追い込まれている。会員の高齢化に伴って年々規模を縮小している中、約2年におよぶコロナ禍での活動自粛が追い討ちをかけているとみられる。
 エスペランサ婦人会は、終戦直後の49年8月17日にサンパウロ市の村上真一郎宅を本部として団体登録され、荒廃した祖国・日本への「ララ救援物資」を送るために始まった婦人団体。
 77年には会員の努力の積み重ねで、現在のサンパウロ市リベルダーデ区の文協ビル5階奥に独自の事務所を購入した。事務所内での料理教室をはじめ、日本舞踊、ピアノ、ポ語、健康体操、フォークダンス、カラオケ、生け花などの各種教室を実施。
 また、毎年、慈善バザーとお茶会の2つのメイン行事を開催し、その収益を福祉団体に寄付してきた。
 最盛期の90年代前後には300人の会員数を誇ったが、3年前の2019年8月の創立70周年記念式典の時点で会員は約120人まで減少。その後、特に20年3月からの新型コロナウイルス感染拡大による活動自粛もあり、解散の危機が高まっているようだ。
 10日現在、倉持会長とは連絡が取れておらず、文協ビル5階奥にある事務所にも電話番をする事務員の姿はなく、ひっそりとしていた。事務所内を掃除する非日系の清掃員に倉持会長か事務員の連絡先を聞けども、首を横に振るばかりだった。
 時間帯を変えて10日午後に、改めて同事務所に行ったところ、80代前後と見られる日本人1世の女性が「解散すると聞いたので、自分の荷物を取りに来たけれど、誰も居なかった」と説明してくれた。また、会員と見られる60代前後の日系女性2人も、私物などを取りに事務所に立ち寄る姿があった。
 さらに、毎年エスペランサ婦人会から寄付をしてもらっていたサンパウロ日伯援護協会(援協)では、「2、3カ月前でしたか、エスペランサ婦人会の関係者の方から『もう解散します』という話を伝え聞きました」と話している。
 エスペランサ婦人会が正式に解散した場合、独自の不動産だった事務所の売却をどのようにするかなど詳細は、13日現在未定。
 文協の中島事務局長に確認したところ、「噂としてエスペランサ婦人会の文協ビル不動産売却の話は聞いています。エスペランサ婦人会は文協創立会員であり、不動産は文協ビル建設第一期事業より持ち主です。もし、実際にこのような歴史的な団体がなくなるのであれば非常に残念です」とのことだった。

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