《ブラジル》選挙時の選挙高裁長官にモラエス判事決定=ボルソナロ大統領派との対立激化か

モラエス判事(TSE)

 14日、選挙高裁で次期長官の選挙が行われ、最高裁判事のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が選ばれた。これにより、大統領選期間中の同裁長官はモラエス判事ということになる。かねてから強い対立関係にあるボルソナロ大統領や支持派にとってはもっとも手ごわい存在で、対決が激化しそうな様相だ。14、15日付現地紙、サイトが報じている。
 選挙高裁長官は原則的に最高裁判事が務めており、順番通りならモラエス判事が長官になると見られていた。この日の判事投票でも6人がモラエス判事、1人がリカルド・レヴァンドウスキー判事に投票しており、モラエス判事が長官、レヴァンドウスキー判事が副長官に選ばれた。
 モラエス判事は8月16日から長官に就任するが、ちょうどその頃が選挙のキャンペーンが始まる時期で、大統領選の一次投票、決選投票の際もモラエス判事が担当となる。
 モラエス判事はボルソナロ大統領やその支持者との激しい対立で知られている。モラエス判事はかねてから「虚報は社会的混乱を招く」と強く主張している上、2019年からは最高裁内でフェイクニュース捜査を担当。最高裁では政敵に関する虚報を大量拡散していたボルソナロ派の政治家や企業家、ジャーナリストを捜査対象としており、2020年には極右活動家のサラ・ウィンター氏、21年にはダニエル・シルヴァイラ下議などがモラエス判事の命令で逮捕されている。
 こうしたことから、ボルソナロ大統領は昨年の独立記念日の9月7日に反最高裁デモを支持者に煽り、モラエス判事も攻撃対象としたが、テメル前大統領が仲裁し、一時休戦となっていた。
 だが、ボルソナロ氏のモラエス判事批判は続き、13日も、「テメル氏が仲裁に入って結んだモラエス氏との協定でフェイクニュース捜査はやめることになっていたのに」と語っている。
 対するモラエス判事も屈する姿勢は見せていない。選挙高裁長官に選ばれたあとの演説では、「ネット犯罪者が民主主義を脅かした場合は容赦しない」と明言し、大統領が延々と疑い続ける電子投票についても安全性を主張した。
 最高裁の中でも最も対立関係にあるモラエス判事が選挙高裁長官となったことで、大統領派による攻撃も激化が予想されている。14日には連邦検察庁のリンドーラ・アラウージョ副長官が最高裁に対し、ダニエル・シルヴェイラ下議に対して行った全体審理での有罪判決の取り消しと、モラエス判事が課した電子足環や罰金などを撤回することを求めた。リンドーラ氏は検察庁きってのボルソナロ派として知られている。
 シルヴェイラ氏は最高裁判事の全員更迭などを動画で訴えた容疑で、8年9カ月の実刑判決が最高裁の判事投票10対1で決まり、10月の選挙での被選挙権も失った。だが、同氏はまだ、上院選出馬を考えている。同氏に対してはボルソナロ大統領が刑執行を免除する大統領令を出したが、有罪判決そのものは覆らないため、被選挙権は回復してない。

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