長崎県でイペーが開花=田平南小「緑の少年団」が植樹=野口さんの思いを受け

イペーの植樹活動を行い開花させた田平南小「緑の少年団」の皆さん(提供写真)
イペーの植樹活動を行い開花させた田平南小「緑の少年団」の皆さん(提供写真)

 長崎県平戸市田平町で今年4月中旬、ブラジルの国花であるイペーの黄色い花が咲いたと同県平戸市立田平南小学校(岡本史郎校長)から県の国際課を通じて、ブラジル長崎県人会(森繁親会長)に、このほど連絡があった。
 イペーの思いを繋いだのは同県人会元会長の野口圭三さん(83歳)と、田平南小「緑の少年団」副団長の浦田盛隆さん。野口さんは故郷発展の思いを込めて、1998年に訪日して同少年団などにイペーの苗木を寄贈した。しかし、日本の気候風土に順応できず、野口さんの母校である同小学校では根付かなかった経緯がある。
 野口さんの小中学校時代の後輩に当たる浦田さんはその後、苗の寄贈から24年が経った今年2月、近くの園芸店でイペーの苗が販売されていることを知り、購入。野口さんの思いを次世代に繋ぎたいと、田平南小学校に相談した。
 同校では、田平町の発展を願う先輩たちの思いを受け止め、子供たちにとっても良い人材育成の機会と判断。今年2月22日に5年生の生徒たちが浦田さんの畑で植樹を行ったところ、同4月17日にイペーの黄色い花が咲いた。
 生徒たちからは「かわいい」「きれい」などの反応があり、これまで見たことがない花に感動した様子だったそうだ。
 野口さんの話によると、ブラジル日本移民90周年だった1998年に、イペーの苗木110本を個人的に日本に持っていく際、当時のサンパウロ市オルト・フロレスタル(サンパウロ州環境局森林院)総裁だった山添源二氏に相談し、ブラジル農務省の輸出許可を得るなどした。しかし、成田空港での入国の際に、日本の検疫官に苗の根を切られるなどし、故郷でイペーが根付くか心配していたという。
 その当時、野口さんの弟が田平町の町会議員をしていたことから、植樹場所の選定作業などで奔走。野口さんの母校である田平南小学校をはじめ、同町の小中学や公園等にイペーの苗木を植樹したが、根付いたのはわずかに1割ほど。結局、田平南小学校に植えたイペーは根付かなかった。
 今年2月の植樹に際しては、「緑の少年団」指導員や、野口さんの甥で平戸市農林課に勤める野口敏之氏らが指導を行い、生徒たちが丁寧に思いを込めて苗を植えたことで開花に至った。
 野口さんは今回の故郷でのイペーの開花に「(1998年の訪日後)10年くらいして改めて故郷を訪れた時、地元の中学校ではイペーの樹木が生長しているのを見ることができましたが、母校の小学校では根付かなかったことを残念に思っていました。今回、皆様のお陰でイペーが咲き、本当に嬉しいです」と喜びを露わにしている。

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