《ブラジル》奴隷労働に耐えられず脱出=小屋住まいで12時間労働

連邦直轄区で奴隷労働に苦しんだ男性が自力で脱出と報じる6日付アヴェントゥーラス・ナ・イストリア・サイトの記事の一部

 病気の治療のためにバイア州から連邦直轄区に来た男性が奴隷労働で苦しんだ後、仲間と共に農園を脱出したと6日付G1サイトなどが報じた。
 奴隷労働を強いられたが自力で脱出したというのは、バイア州から来たジュアレス・ソウザ氏だ。ソウザ氏は今年のはじめ、病気の治療のためにバイア州を出て、連邦直轄区プラナルチナの公立病院で手術を待っていた。
 だが手術が遅れ、病院を出る必要が生じたため、何か仕事をしなくてはと思っていた時、マノエルという男性から「サンセバスチアンの農園で、ユーカリの木を切り出して運ぶ人を必要としている」と声をかけられたという。
 だが、行ってみると話はまるで違い、もう一人の男性と共に暮らしたところは、林の端にある、トイレや寝台さえない小屋。家畜も眠る小屋の中はカやコウモリが飛び交い、クモやサソリも出た。
 飲み水は水道から直接汲むしかなく、12時間働いても、給与はなし。寒さを防ぐ術もなく、シャワーも冷たい水で浴びた。
 こんな生活に耐えられず1カ月以上経ってから、出て行くから清算して欲しいというと45日分は払ってくれたため、何もいわずに農園を出ると、5時間かけて歩き町まで着いたという。
 周りの人に頼んだりして20レアルを集めたソウザ氏は、労働社会保障省の地域監督局へ行くと、奴隷労働で苦しんだと農園主を告発した。
 連邦警察官や労働省の関係者の助けを得たソウザ氏は、彼らと共に農園に戻り、残っていた仲間を救出。連警や労働省職員は農園主達に奴隷労働で告発された事を伝えた。
 ソウザ氏と仲間は、給与と共に、1万レアルの賠償金を受け取った。二人は奴隷労働を強いられていたため、特別な失業保険として3カ月間、最低賃金相当額(1212レアル)を受け取る事ができる。
 仲間は実名を明かす事を拒んだが、ソウザ氏は脱出できた事を喜び、警察や裁判所が自分達を支援してくれた事に感謝。「家に帰る事ができて嬉しい」とも語った。

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