《ブラジル》アマゾナス州で英国人ジャーナリストが失踪=金鉱夫や製材業者から頻繁に脅迫も

マット・グロッソ州での違法伐採摘発の様子(Marcos Vergueiro/SECOMMT)

 英国紙の『ザ・ガーディアン』寄稿者のドム・フィリップス氏と国立インディオ保護財団(Funai)元職員のブルーノ・アラウージョ・ペレイラ氏が、法定アマゾン内で24時間以上消息を絶っており、国内外で懸念が広がっていると6日付現地サイトが報じた。
 ヴァーレ・ド・ジャバリ先住民連合(Unijava)によると、二人は5日朝6時頃、アマゾナス州内のサンラファエルと呼ばれる川沿いのコミュニティに着き、部族のリーダーの妻と話をした後にアタライア・ド・ノルテ市に向かった。だが、約2時間で着くはずの町には着かず、道程を探したが、見つからないという。
 二人は、イツイー川の傍にあるFunaiの本部に近いラゴ・ド・ジャバルーで先住民監視団のメンバーに会い、先住民達にインタビューを行う事になっていた。
 二人は40馬力のエンジンがついた新しいボートとガソリン70リットルを準備して旅をしており、燃料などを補給するために寄り道をしたりする必要はなかった。 

ペレイラ氏(左)とフィリップス氏(6日付G1サイトの記事の一部)

 フィリップス氏はサルバドール市に住み、15年以上前からガーディアンやニューヨーク・タイムス、ワシントン・ポスト、フィナンシャル・タイムスなどにブラジル関連の記事を寄稿。また、アリシア・パターソン基金の支援で、環境に関する本も執筆中だった。
 ペレイラ氏はアタライアにあるFunai地域本部の元コーディネーターで、地域を熟知していた。
 二人は2018年から同地域を一緒に回っているが、ペレイラ氏やUnijavaの関係者は頻繁に金鉱夫や製材業者などからの脅迫を受けていた。ベレイラ氏らは先週も脅迫を受けており、連邦警察や連邦検察庁、国際的な先住民保護団体などにも被害届や報告を提出していたという。
 ガーディアンはブラジルにある英国大使館にも連絡を取り、二人に関する情報を集めようとしているが、これといった情報が得られていないという。

★2022年5月13日《特別寄稿》「ブラジルの水俣病」現状を調査=アマゾン違法採掘の水銀汚染被害=吉田邦彦(北大法学研究科教授・日本環境会議理事・協同総研理事)
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