文協横でLPG車大爆発=家賃トラブルで放火、刺傷事件発生=ヒラタ容疑者、コカイン疑いも

車が燃えている様子(提供=影山新)
車が燃えている様子(提供=影山新)

 28日午後11時頃、サンパウロ市リベルダーデ区のブラジル日本文化福祉協会(文協)横の道路(ガルボン・ブエノ街)で、ドーンという巨大な爆発音が近隣に響き渡った。現場では家賃滞納を巡るトラブルから店子のエジソン・ヒラタ容疑者(54歳)が、大家の男性(中国系、53歳)の車を放火、ナイフで太ももを刺す事件が発生していた。
 ヒラタ容疑者は、大家の男性が貸し出しているガルボン・ブエノ街に面する部屋に4カ月ほど住んでいたが、2カ月にわたって家賃を滞納。大家の男性は、家賃の支払いを要求したが、ヒラタ容疑者の対応はなく、大家の男性はヒラタ容疑者を強制退去させるため、ヒラタ容疑者の部屋に入り、所有物を外に運び始めた。
 ヒラタ容疑者は搬出作業を止めさせようとナイフを持ち出したが、大家の男性は搬出作業を続けた。激昂したヒラタ容疑者は、文協横に止まっていた大家の男性の車に火を付けた。目撃者によれば、燃え上がる車を見に人が集まったところで、突然車が大爆発を起こし、近くの交差点にあるバールまで衝撃波が届いたという。
 放火された車はLPガスで走るLPG車だったため、大きく爆発炎上し、文協ビルのガラスや向かい側アパートの壁にヒビを入れるなどの被害を及ぼした。
 その後、ヒラタ容疑者と大家の男性の間で乱闘が起き、その最中にヒラタ容疑者はナイフで大家の男性の太ももを刺した。ヒラタ容疑者は、通報により駆け付けたパトカーのサイレンの音を聞き、逃亡。大家の男性は太ももに5針の怪我を負い、調書を作成した。

爆発によって原型をとどめていない乗用車(29日正午頃撮影)
爆発によって原型をとどめていない乗用車(29日正午頃撮影)

 大家の男性によれば、ヒラタ容疑者にはコカイン依存の疑いがあり、付近の住民はヒラタ容疑者がコカインを所持している姿や喧嘩している姿を度々目撃している。ヒラタ容疑者は親族から家賃代を含む仕送りを受けて生活していたという。
 大家の男性は本紙の取材に対し、「鍵屋を営んでいるので車が無いと仕事に支障がでる。車内には山ほどの仕事道具があった。今週はかなり仕事が入っていたからとても困った。損害賠償をしてほしい」と述べた。
 また、「ヒラタ容疑者の親族とは面識があり、彼らはとてもいい人達だ。彼らが尻拭いをしなければならないと考えると少し複雑な気分になる」と心境を語った。
 翌29日正午頃の事件現場には、爆発炎上によって原型をとどめていない車の残骸が放置され、アパートの割れた窓ガラスの破片が散乱、爆発によって千切れた電線が垂れ下がっていた。

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