《ブラジル》ドリア「大統領候補は自分」と主張=PSDB党首らの怒り買う=党幹部会議で処遇決定へ

ドリア氏(Valter Campanato/Agencia Brasil)

 ジョアン・ドリア前サンパウロ州知事は14日、所属の民主社会党(PSDB)のブルーノ・アラウージョ党首に、自分は党内選挙で勝利した大統領候補であることを尊重するよう求める手紙を出した。これが「党に対する絶縁状」のようだと解釈され、党内が紛糾する事態に陥っている。15、16日付現地紙、サイトが報じている。
 ドリア氏は手紙の中で、「昨年11月の党内選挙の前から党重鎮らの間で自分に敵対する勢力が生じていた」とし、さらに「党内選挙後も、彼らは反乱行為を行っていた」と非難した。
 ドリア氏はアラウージョ氏に対しても、「週を追うごとに、選挙という民主的な手段を通して決まった結果を尊重しなくなっている」とし、「選挙結果は尊重して欲しい」と注文をつけた。
 また、同党内で囁かれている世論調査でのドリア氏の人気の低さに関しても、「それはあくまでも今現在のことであり、10月の党内選挙の結果を覆す理由にはならない」と反論した。
 ドリア氏がこの手紙を出したのには二つの背景がある。一つは、党内勢力の一部が民主運動(MDB)と結託し、シモーネ・テベテ上議(MDB)を統一候補に擁立しようとしていることだ。これは当初、ウニオンを加えた3党で「第3勢力候補」を出そうとしていたものの延長だ。
 ウニオンは党首のルシアノ・ビバール氏が当初希望していたセルジオ・モロ氏の擁立が党内で却下されたこともあり、ビバール氏自身を単独候補としてたてることを決め、連立を離脱。他方、MDBとPSDBは、独自に依頼した会社が行う支持率調査で統一候補を決めることにした。
 さらに、カルドーゾ政権時代に大統領府総務室長官や法相を歴任した同党サンパウロ州支部重鎮のアロイージオ・ヌーネス氏が14日、「大統領選では迷うことなく、一次投票からルーラ氏に投票する」「ドリア氏はPSDB党内での支持が低い」と述べたことも響いた。
 ルーラ氏の副候補は2018年のPSDBの大統領候補だったジェラウド・アウキミン氏で、ルーラ陣営はPSDBからの票も集まると期待している。
 また、18年の統一選でドリア氏が「ボルソドリア」と称し、ボルソナロ氏の支持者にサンパウロ州知事選で自分に投票するよう呼びかけた行為はアウキミン氏をはじめ、党内部で強い反感を買っていた。
 アラウージョ氏は今回のドリア氏の手紙を「党に対する絶縁状」と批判。同党首は17日の党幹部会議でドリア氏の処遇を決める方針を発表した。
 これに関して、同党最重鎮のカルドーゾ元大統領はドリア氏の心情を理解し、同氏を候補とするよう求めている。だが、PSDBと連立(フェデラソン)を組むシダダニアのロベルト・フェレイレ党首は、「ドリア氏に連立候補は無理」との見解を示している。
 一方、ドリア氏と対立を続けている党内選2位のエドゥアルド・レイテ氏の陣営も、統一候補をテベテ氏にするかを決める前の支持率調査では拒絶率が高いドリア氏の代わりにレイテ氏を候補にするよう求め続けている。

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