特別寄稿=在住者レポート=パラグアイは今=ブラジルとの国境に新橋建設=ドル現金なければ大変な亜国=4月24日版=アディルザス代表(https://www.adirzus.com/)=硯田一弘(すずりだ かずひろ)

 今週は久々に日本からの出張者が来られました。
 一行の到着はブラジル側のフォス・ド・イグアスなので、出迎えに行った結果、パラグアイ東端の街シウダ・デル・エステから、国土を横断して西端の首都アスンシオンまで往復700Kmを走り抜けました。
 ビジターの到着前にアルゼンチン側プエルト・イグアス市も視察してきたのですが、まずここが驚きの連続。
 聖週間(セマナサンタ、イースターホリデー、4月14―17日)の最終日ということもあり、観光客の波は引いた後でしたが、4月21日木曜日がブラジルの祝日(O Dia de Tiradentes)の為に、2週間連休にするブラジル人も多く居て、それなりの賑わいを見せていました。
 まずは為替レートが一直線で下がり続けている為に、相対的に物価が安くなっているアルゼンチンで給油を試みたのですが、国境に一番近い給油所は、ブラジルから来た車が長蛇の列をなしていました。
 そのため、プエルト・イグアスの街中の給油所に行ったものの、店頭に価格の表示は無く、アルゼンチン人の列と外国人の列に仕分けられていて、しかもペソか米ドルの現金決済のみとのこと。仕方なく20ドル分を入れて貰ったところ、19リットルちょっと、つまり円換算で135円/リットルという値段での購入となりました。
 因みにパラグアイでのレギュラーガソリン価格は8,310グアラニー(Gs)=156円、ブラジルでは7・21レアル(R$)=200円なので、それなりに得した気分でした。
 次に酒屋でアルゼンチンワインを買おうと店に入り、めぼしいのを物色しつつクレジットカードの使用について店員に訊ねたところ、VISA/Master/AMEX等のカードは使用できるものの、決済レートが40ペソ(AR$)/US$程度になって損するから止めるように、とのアドバイス。
 一般に公示されている換算レートは114ペソ/ドル程度ですが、米ドル現金であれば140ペソ/ドルで換算してくれるとのことで、1本1,200ペソのワイン2本を購入することが出来た上に、現金でブラジル10レアルのお釣りまで貰えました。
 これをもしカードで決済していたら2,400÷40=60ドル=7700円の引き落としとなっていた訳です。

対ドルで下落を続ける亜国ペソの為替レート(提供写真)

 前回最後にアルゼンチンに行ったのは2020年の1月で、この時は何でもカードで決済しましたが、僅か2年ちょっとの間にアルゼンチン経済は完全に昔に戻って公定レートと実勢レートの乖離が3・5倍になっており、ドル現金が無ければ何も楽しめない国、ベネズエラを彷彿とさせる状況に肝を冷やしました。
 一方、ブラジルとパラグアイとの国境には現在友情の橋という橋が架かっていますが、慢性的に発生している渋滞の解消の為に新しい橋の建設が進んでおり、ここを視察してきました。
 ブラジル側の三国国境公園には高さ88mの観覧車も設置され、昨年12月から営業しており、ここから眺める新橋建設現場の様子は、別の意味で驚きでした。
 三国国境公園周辺は、観覧車だけでなく国際級のホテルも建設され、滝観光のお客様にとって新たな観光スポットが出来上がります。
 前述のアスンシオン=エステ市の道路も、8割がたが複々線化工事が完了し、しかもこの橋が建設されるなど、パラグアイにおける交通インフラ整備のスピードは近年驚くべき速さで進んでおり、この橋が完成する来年の初め頃にはエステ市周辺の経済環境も大幅に改善されることは間違いありません。
 パラグアイのインフラ整備に必要なセメントは現在ブラジル等からの輸入に頼っていますが、チャコ地方で新たに建設中のCECON社の年間200万トン能力の新工場が完成すると、更に各方面で開発が加速する事が予測されています。

新橋の建設現場(提供写真)

 今週は、道路建設協会CAVIALPAの幹部がCECONの工事現場を訪問して、建設工事が予定通りに進んでいることに驚いたとの記事が掲載されました(https://www.lanacion.com.py/negocios_edicion_impresa/2022/04/20/cavialpa-se-sorprende-con-el-avance-visto-en-cecon/
 良い意味での驚きに満ちたパラグアイ、これからも色々な新規案件で世界を驚かせることになるでしょう。

パラグアイの言葉 sorprender(ソルプレンデール)=驚かせる 英:surprise 葡:surpreender

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