《ブラジル》先住民12歳少女の強姦致死事件=アマゾンで不法金鉱夫らが襲う=ヤノマミ族居住区で「予告された犯罪」

事件が起きたアラカサ部落(Júnior Hekurari/Divulgação)

 ブラジル最北部でアマゾン熱帯雨林に属するロライマ州のヤノマミ族居住区で、不法侵入の金鉱夫らに暴行・強姦された12歳の少女が死亡するという事件が起き、連邦警察官らが現地に向かったと26、27日付現地サイトが報じた。
 金鉱夫らによる強姦・死亡事件が起きたのは、ワイカス地方アラカサ部落だ。ヤノマミ・イェクアナ先住民保健特別区評議会(Condisi―YY)のジュニオル・エクラリ・ヤノマミ議長が25日夜明らかにしたところによると、同日は、少女への暴行・強姦事件と共に、彼女をかばおうとしたおばが抱いていた3歳児が川に突き落とされて行方不明になるという事件も起きている。
 同氏によると、アラカサ部落は金鉱夫のキャンプの真ん中にあり、婦女子への暴行・強姦が頻発している。今回は一人で家にいた少女を無理やり小屋に連れ込み、暴行・強姦に至ったもので、犯人達は武装していた可能性もある。少女が死亡した事は部落住民が知らせてきたという。
 ヤノマミ族の居住地への金鉱夫の不法侵入や婦女子への暴行・強姦多発は、ウトゥカラ・ヤノマミ族協会(HAY)が先週、告発している。いわば「予告された犯罪」だ。
 エクラリ氏は25日の内に連警と陸軍に少女への強姦・暴行事件が起きて、少女が死亡した事を通告。26日にはCondisiを通して、ヤノマミ族の先住民特別保健区(DSEI)と先住民保健特別局(Sesai)、連警、連邦検察庁に、現状を伝える文書も送付した。DSEIとSesaiは共に、保健省の管轄下の機関だ。
 検察庁は同州内の先住民居住区で不法な金採掘とそれに伴う犯罪行為が多発している事を認めており、諸機関と共に捜査を行うと約束した。ヤノマミ族居住地は国内最大で、ロライマ州、アマゾナス州、国境に近いベネズエラ国内に及ぶ。
 ワイカス地方は州都ボア・ヴィスタから飛行機で1時間15分で、アラカサ部落へはそこからヘリで30分飛ぶか、ウラリコエラ川を船で5時間移動する必要がある。
 同地方の森林は金鉱夫による不法採掘などで296・18ヘクタールが不法開発されており、同州内の先住民居住区でも最も乱開発された地区の一つだ。内4分の1はここ1年間で開発されており、不法開発、不法採掘が急拡大している。
なお、連警とエクラリ氏は27日朝、国立インジオ保護財団(Funai)や検察庁関係者と共に、空軍機でアラカサ部落に到着。現地捜査後、同日中に少女の遺体を州都の法医学研究所(IML)に運ぶ意向だ。

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