《ブラジル》マクロン仏大統領再選でボルソナロ政権に打撃=メルコスルEU貿易協定に暗雲

マクロン大統領(Presidencia de la República Mexicana, via Wikimedia Commons)

 フランスの大統領選でエマニュエル・マクロン大統領が再選したことで、ブラジルとの関係やメルコスル(南米共同市場)とEUの自由貿易協定が停滞する懸念があると、25、26日付現地紙、サイトが報じている。
 マクロン氏は現任期中もボルソナロ大統領の森林伐採をG7で強く批判。ボルソナロ氏が国際環境問題に関してパリ協定への署名を拒否していたことや、同氏がマクロン夫人の年齢をからかったことなどもあり、関係が悪化していた。
 今回の当選に関しても、ボルソナロ氏は直接祝辞を贈らず、外務省が他の国々よりかなり遅れて当選を祝う文書を送った。対仏関係のさらなる悪化が懸念されている。
 一方、大統領選でのボルソナロ氏との一騎打ちが予想されるルーラ元大統領は、早々と24日のうちにマクロン氏に祝辞を贈った。マクロン氏は昨年11月、欧州を来訪したルーラ氏を大統領官邸に迎えており、これもボルソナロ氏の不満を高めている。
 この再選により、メルコスルとEUの自由貿易協定が進まなくなることを恐れる声が出ている。マクロン氏は20日に行った、大統領選の決戦投票の相手だったマリーヌ・ルペン氏との討論会で、「ブラジルの鶏肉で我が国の農家を犠牲にするようなことはない」と発言。メルコスルとの自由協定に関して消極的であったことを明かしている。
 マクロン氏はこの際に「パリ協定や生物多様性、森林対策が尊重されなかったから、メルコスルとの交渉進捗を拒否した」とし、その理由がボルソナロ氏にあることを強調している。
 メルコスルとの自由貿易協定はルペン氏の政党、国民連合をはじめとした野党も反対しており、正式な協定成立は、ボルソナロ政権下ではかなり難しいものとなっている。

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