《ブラジル》拷問の電気ショックで流産との疑惑噴出=軍政時代の会話記録公開で

70年代の軍事裁判所の様子(Twitter)

 軍事政権時代に上級軍事裁判所(軍高裁)判事が行った会話の一部が一般公開され、電気ショックをかけられた女性政治犯が流産したなどの新たな疑惑が浮上している。17~19日付現地紙、サイトが報じている。
 17日にジャーナリストのミリアン・レイトン氏がブログで公開したのは1975~79年の会話で、軍事裁判所判事だったファベル・シントラ氏ら7判事の発言が録音されている。1985年までに収録された会話は1万時間以上に及び、リオ連邦大学のカルロス・フィコ教授が2017年に許可を得てその内容をコピーして内容を調査していた。同教授から知らされたレイトン氏が公開したのは、そのほんの一部に過ぎない。
 公開された会話の中で最も注目されているのは、1977年6月に陸軍大将でもあったロドリゴ・オタヴィオ判事(当時)が行ったものだ。同判事は、妊娠3カ月のナジア・ルシア・ド・ナシメントなる女性政治犯に軍が電気ショックを与えるなどの暴力行為を働いた結果、この女性が流産したなど複数の拷問に言及している。
 同じく1977年6月に行われた軍事裁判で5年を求刑されたジャーナリストのマルコ・アントニオ・タヴァレス・コエーリョ氏の弁護士のソブラル・ピント氏が語った、「あなたがた判事は拷問の存在を信じない。軍医の診断でも暴力行為の痕跡は明らかなのに」との言葉も注目されている。
 一方、1976年10月にはヴァルデマール・トーレス・デ・コスタ判事の「私はこれらの拷問の存在を信じ始めている」との発言も記録されており、このあたりから軍事裁判所でも陸軍秘密警察(DoiーCodi)による拷問行為が問題視され始めていたことがうかがわれる。
 陸軍予備役大将のアミウトン・モウロン副大統領は18日、同件に関して「捜査の必要はあると思うか」と問われ、「皆、鬼籍に入っているのに何を捜査するのだ」と一笑に付した。だが、軍事裁判所現判事のマリア・エリザベス・ロシャ氏らは、「過ちを繰り返さないためにも大切なこと」と主張している。

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