《サンパウロ州》医大生が黒人献体を顕彰「なぜ解剖で使われる遺体の大半が黒人?」

カンピーナス大学(Tomás Marostegan/Unicamp)

 サンパウロ州カンピーナス市の州立カンピーナス大学(ウニカンピ)医学部第59回生とコレチヴォ・コロンボ・ウブントゥのメンバーが8日、同絞構内のアレーナ劇場で、解剖研究所での研究に使われた黒人の遺体顕彰の時を持ったと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
 カンピーナス大学では2019年に黒人向けの特別枠を採用し始めており、翌2020年に黒人枠で入学した学生達が作ったコレチヴォ・コロンボ・ウブントゥは常に、黒人学生が学内で存在感を増し、従来ならエリート集団が独占してきた医学部のような部署でも黒人が活躍できるようになる事の重要性を説いてきた。
 今回の遺体顕彰は、第59回生の中の黒人学生らがイニシアチブを取って計画し、同大学人権執行委員会(DeDH)や、医学部学生が集うアドルフォ・ルッツ・アカデミックセンターの支援を得て実現した。イベントでは黒人の遺体を顕彰する事を明言したプレートを献上。このプレートはその後、生物学研究所の解剖学研究所に設置される。
 DeDHのシルヴィア・マリア・サンチアゴ教授によると、遺体顕彰への行動は、大学内の黒人の役割に関する討論の契機となったという。同教授は、「黒人は壁を築き、学内を掃除し、解剖学の冷たい机の上にのっているだけ? 黒人だって学生や研究者、教授になれるはずじゃない?」と問いかけた。
 また、「私達は生物解剖学で使われる黒人の遺体を尊んでいる。これは、今後、黒人が大学内で目に付く場所を占める事ができるよう、擁護する事でもある」と続けた。同教授によると、解剖学で使われる遺体は、大半が貧しい黒人のものだという。
 第59回生達は医学部1年生だった昨年、医学倫理の授業中に大学内や一般社会での人種差別について聞かされた。その時、解剖学で使われる遺体の大半が黒人のものであることに気づいてショックを受けた黒人学生達が、なぜ遺体の大半は黒人のものなのかと問いかけてきたという。
 議論の結果、クラスメートや教授、大学側の支援を得た第59回生の中の黒人学生達がイニシアチブをとり、黒人の遺体を顕彰する事を提案した。
イベントでは、芸術研究所(IA)の博士課程学生で歌手のファビアナ・コザ氏と、IAの博士課程学生でシンガーソングライターのイレシー氏、教授でパーカッショニストのドウグラス・アロンソ氏、シンガーソングライターのマリリア・コレア氏による音楽演奏も行われた。

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