貴重な外交史の日本語版出版=日伯修好通商航海条約120周年

『ブラジルと日本の国交一二〇年―未来に向けた基礎の構築』の表紙
『ブラジルと日本の国交一二〇年―未来に向けた基礎の構築』の表紙

 1895年に締結された日伯修好通商航海条約。2015年に締結120周年を迎えたことを記念して『120 Anos:Construindo os Alicerces o Futuro das Relações Brasil-Japão』(Editora Lexia Ltda.)が16年に刊行された。そして、その日本語版『ブラジルと日本の国交一二〇年―未来に向けた基礎の構築』(Intercultural、2022年)が3月にサンパウロ市で出版された。日本語版編訳者は二宮正人氏。
 19世紀末に修好通商条約が結ばれた背景を論じる第1章は、日系初の外交官エジムンド・ススム・フジタ氏が執筆。当時の日本は西欧諸国に対して不平等条約の撤廃を求めており、ブラジルはコーヒー輸出をアジア市場に拡大する願望を有していた。そうした両国の背景が結果的に日本移民導入へ繋がったとしている。
 また、フジタ氏は2004年の小泉首相来伯についても述懐。小泉首相はグワタパラ移住地上空をヘリコプターで通過する際、日系住民に花束を上空から投げ渡す予定だったが、運動場に「日本 総理 歓迎」の文字が大きく書かれているのを見て、急きょ着陸を指示。住民らに花束を直接手渡し、交流を深めた。
 運動場の「日本 総理 歓迎」を目にして感激した様子の小泉首相についてフジタ氏は、「小泉首相は移住の開始以来、百年以上になる日系社会が達成し得たブラジル社会との融合の度合いを直接に感じ、(中略)日系人のブラジルへの融合は世界において唯一の例であることを感じられたと思う」と書いている。
 第2章は二宮氏。第2次大戦中から終戦後の1952年までの間の、在ブラジル日本国外交官に対するブラジル政府の処遇や同時期の在日ブラジル国外交官への日本政府の待遇などを当時の外交資料に基づいて綴っている。
 第3章は上智大学名誉教授の堀坂浩太郎氏。講和条約直後から再開された外交や、1970年代から活発化した日伯経済交流、ウジミナスのような二国間大型プロジェクト、今世紀に入ってからのブラジル・日本賢人グループ会議や日伯経済合同委員会などを介した対話、伯日経済パートナーシップ協定の合意までを解説する。
 第4章は広告・マーケティング大学校(ESPM)コーディネーターの上原初男アレシャンドレ氏。伯日外相対話の設立から、ジウマ大統領と安倍首相との共同声明に含まれる両国の国際協力進展などを扱った。
 第5章は元国連大学高等研究所研究員のアウレア・クリスチーヌ・タナカ氏。1980年代に始まったデカセギ現象の複雑な側面を扱っている。
 関心のある人は、サンパウロ市の二宮法律事務所(11・3866・2400、担当エリーザさん)まで連絡を。

 

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