《ブラジル》モロ「大統領選諦めてない」=前日の移籍入党時と矛盾=ウニオン側は正式に否定を宣言

ビバール氏と会合したモロ氏(Twitter)

 ボルソナロ政権元法相のセルジオ・モロ氏が3月31日のウニオンへの党移籍の翌日、入党条件とされた「大統領選を断念する」という約束を破り、「出馬は断念しない」と発言し問題となった。これに対し、ウニオンは「あくまでもサンパウロ州選挙区での出馬」を主張し、下議か上議などでの出馬に限定するとの決定を下している。1〜3日付現地紙、サイトが報じている。
 モロ氏は3月31日にポデモスを抜け、ウニオンに電撃移籍した。それは「大統領選への出馬を断念する」という条件付きだった。これは、モロ氏がポデモスの大統領候補であることが確実視されていただけに、驚きを持って迎えられた。
 この移籍はポデモス側には一切伝えられておらず、直前にポデモスに入党した同氏夫人のロザンジェラ氏が慌ててポデモスを離党するなど、不可解な印象を残した。
 さらに1日、モロ氏は記者会見を開き、前日に自身の口からも出ていた大統領選出馬断念を取り消し、「どの選挙も断念していない」と発言して、世間を驚かせた。
 この発言にウニオンのACMネット幹事長や党重鎮のロナウド・カイアド・ゴイアス州知事などが不快感を表明。一時は同幹事長の側近が入党取り消しを求める事態となった。
 この騒ぎにウニオンのルシアノ・ビバール党首がモロ氏を擁護。入党取り消しを行わないよう、強く要請した。今回のモロ氏の移籍は元々、ビバール氏がモロ氏をウニオン、民主運動(MDB)、民主社会党(PSDB)の3党連合による大統領候補に据えようと望んだことで起きたもの。だが党内で難色を示され、大統領選不出馬という話になっていた。
 ビバール氏は3月28日にモロ氏と会い、3党連合での大統領候補の話を持ちかけており、それが移籍の直接的な理由となったと見られている。ビバール氏は前党・社会民主党(PSL)時代にボルソナロ氏を出馬させたことで知られている。
 だがウニオンのもう一つの前身党・民主党(DEM)党首だったACMネット氏の反対はかねてから根強かった。その理由のひとつは、同氏がモロ氏の大統領選の公約を低く評価していることで、もう一つは同氏のバイア州知事選だ。
 ACMネット氏はDEMの重鎮で、同州で強い影響力を誇るアントニオ・カルロス・マガリャンエス(ACM)氏の孫で、世論調査での支持率は高い。だが、同州は労働者党(PT)の強い地盤でもある。そこにラヴァ・ジャット作戦の判事だった時代にルーラ元大統領に有罪判決を下したモロ氏を国政で支持となると、大きなダメージが予想されるためだ。
 2日夕方、ウニオンはモロ氏の党籍無効を取り下げたが、改めて同党でのモロ氏の出馬プランを発表した。同党はそこで、モロ氏の出馬先はサンパウロ州選出の下議か上議であることを明言。そこにはACMネット氏のみならず、ビバール氏の署名も記されていた。

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