《ブラジル》リベイロ教育相が28日に辞任=聖書販売で収益獲得疑惑も表面化=ロビイスト2人に教育相の写真付

問題となった聖書(Twitter)

 【既報関連】教育省の「影の内閣」と呼ばれる福音派宗教団体幹部による、ミウトン・リベイロ教育相を巻き込んだ汚職疑惑で連警の捜査が始まったが、彼らや同教育相の顔写真が載った聖書を販売していた疑惑も浮上。教育相が辞表を提出するに至った。25〜28日付現地紙、サイトが報じている。
 ペンデコステ派最大宗派「アッセンブレイア・デ・デウス」牧師のジウマール・サントス氏とアリウトン・モウラ氏が同宗派と関係の深い市のためにロビー活動を行い、同じく福音派のリベイロ教育相を頼りに学校などの建設費を教育省の基金から優先的に払い出させていた疑惑で、新たな事実が暴露されている。
 25日にはゴイアス州ボンフィノーポリスのケウトン・ピニェイロ市長(シダダニア)による、アリウトン氏から「1万5千レアルの賄賂を払うよう求められた」との証言が報道された。同市長によると、ゴイアニアで牧師二人と会った際、教育相と会わせると約束され、教会支援のために聖書を1千冊買ってくれと頼まれたが、市役所では財政的に無理だからと、個人で100冊買ったという。
 教育相との会合はその後で、同市長は会合後、アリウトン氏から「学校建設費を払い出すから、今日中に私の口座に1万5千レアルを振り込むように」と要求されたという。
 教育省での会合は市長たちとの接触を深めるためで汚職とは無縁だと思っていたケウトン氏は、「有意義な会だと思った直後の賄賂請求に吐き気をもよおした」という。24日には、同州内の別の市長が「賄賂として1キロの金塊を求められた」と証言している。

 28日には、パラー州都ベレンから220キロ離れたサリノーポリス市で昨年7月3日に開かれた州内の市長や局長の会合で、ジウマール氏とアリウトン氏、リベイロ教育相の写真入りの聖書を販売していた疑惑が浮上した。聖書には、先の3人とカルロス・アルベルト・デ・セナ・フィーリョ市長(自由党・PL)の写真が刷り込まれていた。
 イベントにはリベイロ教育相や今回の騒動での資金の出所とされている国立教育促進基金(FNDE)のマルセロ・ポンテ局長が出席。ジルマール氏も当局側の人物として壇上にたった。ジルマール氏の教会傘下の印刷所で印刷された聖書は70レアルで売られており、ケウトン市長の証言を裏付けている。
 リベイロ教育相はイベント後、サリノーポリス市の学校建設費として580万レアルの援助を約束している。
 また、マラニョン州セントロ・ノヴォのジュニオル・ガリンペイロ市長(進歩党・PP)は、リベイロ教育相や影の内閣のスタッフとの会合の写真をネットで拡散し、話題となった。
 カルメン・ルシア最高裁判事が24日に同件に関する捜査開始を認めたため、連警が25日に教育省絡みの疑惑捜査を開始。ボルソナロ大統領は選挙前で閣僚交代の時期でもあり、教育相続投としていたが、次々に出てくる証言や圧力に抗し切れず、28日に教育相交代を決意。これを受け、リベイロ氏が同日午後、辞表を提出した。

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