IPESC=日本留学支援事務所を開設=「留学生は日伯関係の基盤」=日本政府事業「スタディ・イン・ジャパン」

開所記念式典でのリボン・カットの様子
開所記念式典でのリボン・カットの様子

 サンパウロ市のサンタクルス日本病院の外郭研究団体「サンタクルス学術研究所」(IPESC、西国幸四郎所長)に、日本国文科省の日本留学海外拠点連携推進事業(スタディ・イン・ジャパン)の新事務所(大根田修所長)が設置され、11日に開所記念式典が行われた。

 日本政府は2013年に、20年の達成を目標に「留学生30万人計画」を立ち上げ、14年に『留学コーディネーター配置事業』を開始。18年に事業内容を拡充した「日本留学海外拠点連携推進事業(スタディ・イン・ジャパン)」を開始した。
 同事業では世界各地の日本留学希望者のサポートを行い、留学者の増加を図る。南米地域は筑波大学が担当し、これまではサンパウロ州立総合大学(USP)に事務所を設置し、日本留学希望学生へのサポートを行ってきた。今回はIPESCに拠点が増設された。
 大根田所長は「USP事務所では、既に留学内容が明確に決まった人からの相談が多かった。新事務所は街中にある立地を活かし、留学についてまだ明確なビジョンを持たない人が気軽に立ち寄れる場所にしたい。日本文化広報施設のジャパン・ハウスやブラジル日本文化福祉協会などの日系団体とも協力して広報イベントを実施したい」と方針を語った。
 新事務所には元文部科学省国費外国人留学生で、筑波大学で博士号を取得したロドリゴ・フェルナンド氏が常駐。相談者が関心を持つ分野に対して、日本全国の大学を紹介する。
 式典には、サンタクルス日本病院の佐藤マリオ理事長、ブラジル日本文化福祉協会の石川レナト会長、在サンパウロ日本国総領事館の桑名良輔総領事、JICAブラジル事務所江口 雅之(えぐち まさゆき)所長らが出席。林禎二駐ブラジル特命全権大使、筑波大学の永田恭介学長らもオンラインで式典に参加した。
 挨拶に立った西国所長は「IPESCは日伯の学術交流の懸け橋として活動してきました。新事務所の設置で交流がより盛んになり嬉しい限りです」と述べ、桑名総領事は「両国の研究者間での交流が活発化し、日伯間の絆が深まる事を願います」と新事務所への期待を語った。オンライン参加した林大使は「留学生は将来の日伯関係の基盤」と祝辞を寄せた。
 「留学生30万人計画」は、2019年5月時点で留学生数31万2214人を達成。政府報告資料によればアジア地域からの留学生が93・6%、伯国含む中南米からの留学生は0・6%の1718人だった。在ブラジル日本国大使館によれば、コロナ禍前は年間約500人が日本へ留学していたという。
 日本留学海外拠点連携推進事業の事務所は、南米含め世界6地域に設けられている。東南アジアを岡山大学、中東・北アフリカを九州大学、南西アジアを東京大学、サブサハラ・アフリカ地域を北海道大学、ロシア連邦・CIS地域を北海道大学・筑波大学・新潟大学が担当している。

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