《サンパウロ州》「いつもお前と一緒にいる」コロナ後遺症で逝った父の言葉腕に刻む娘

父親からのメッセージを刻んだ腕の刺青(11日付G1サイトの記事の一部)

 サンパウロ州海岸部サントス市に住む24歳の獣医が、新型コロナの後遺症で2カ月間の闘病後に亡くなった61歳の父親が亡くなる直前に書き送ったメッセージを腕に刺青して父親を偲んでいると11日付G1サイトなどが報じた。
 獣医の父親が新型コロナに感染したのは昨年の10月。その後も関節リウマチと初期の肺線維症のため、サンパウロ市の病院に2カ月間入院していた。
だが、遂に力尽きて3月の第1週に亡くなった。その直前、「私の血を分けたB、私はいつもお前と一緒にいる。お前の事を本当に誇りに思っている。愛しているよ」というメッセージを娘に贈った。
 このメッセージを見た獣医は翌週(7日)、かねてから考えていた、父親と共に過ごした日々を思い起こすための刺青の一つにこのメッセージを選んだ。
 父親顕彰のための刺青は三つで、最初がこのメッセージ。二つ目は、父親との思い出の中に常にあり、葬儀の時も棺に置かれていたひまわりの花。三つ目は彼女と母親が父親の闘病に寄り添った日々を表す、「あなたの鼓動が絶える時まであなたの傍に」という意味の英語のフレーズ(By your side until your last heartbeat)だ。

 彼女と母親は最初、癒しを祈っていたが、父親の苦しみが増してくるのを見て、憐れみを求め始めたという。亡くなる数日前からは特に大変になり、最後の4日間は片時も傍を離れられなかったという。「父は多臓器不全を起こし、鼓動がだんだん弱まってきたの。みんな必死に戦ってきたけど、遂に終わりの時が来たわ」という言葉は、3人で過ごした最後の日々を如実に示している。
 彼女によると、父親は「容易には折れない人」で、虫垂炎や血栓症なども乗り越えてきた。だが、彼女と父親との関係がどんなに麗しいものであったかは、父親が家族に残した教えや思い出などを語る言葉の端々からもうかがわれる。
その一つは、父親がウイスキーを買って来て、「お前の結婚式で一緒に飲もう」と言ったというもので、「結婚する日が来たらもちろん飲むけれど、父はもういないわ」という言葉で心中を吐露した。また、獣医になるために大学に入り、母親と別れて、父親と共にサントス市に住む事になった時、父親が決めたルールは「汚したら掃除し、散らかしたら片付ける」と「俺を怒らせるな」だけだったという。

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