兵庫県ブラジル事務所が閉鎖=県産品販路開拓など実施=パラナ州と「道の駅」企画も

来社した兵庫県事務所の3人
来社した兵庫県事務所の3人

 兵庫県ブラジル事務所(パラナ州クリチーバ所在、永田展之所長)が、県の行財政運営法案見直しのため、今月末をもって閉鎖する。2月11日、永田所長と所長補佐の植田(うえた)クリスチアーネさん、林めぐみさんが当紙編集部を訪れ、閉鎖までの経緯を説明し、関係者への感謝を述べた。

 兵庫県ブラジル事務所は、日伯間経済交流の増加を見込んで2006年に正式な県事務所として業務を開始。それ以前はパラナ州と兵庫県が姉妹州県提携を結んだ1970年に連絡事務所が設置されていた。
 総領事館やサンパウロ市ジャパン・ハウス、日本貿易振興機構(JETRO)と協同して、兵庫県産品の広報イベントや兵庫県内の中小企業から相談を受けて、販路開拓を行ってきた。
 昨年12月、コロナ禍による県財政減収の見込みから、行財政運営方針の見直しが行われ、同事務所の閉鎖が決定した。
 永田所長は「閉鎖はまさに寝耳に水でした。去年の今頃はまさかこうなるとは思っていませんでした」と残念そうな面持ちでその心境を語り、「パラナ州政府は『道の駅プロジェクト』をはじめとする地域開発企画を共同推進していたので、今回の閉鎖を非常に残念がっています」と話した。
 「道の駅プロジェクト」は昨年、兵庫県と同州の友好提携50周年記念事業で立ち上がったばかり。州内の高速道路に「道の駅」を設置し、地域の小規模農家の作物を販売、地域再開発の活動拠点を生み出す計画だ。
 パラナ州では郊外出身の若者が都心へ移住し、郊外の過疎化が進行。地域の空洞化が社会問題となっていた。「『地元で当たり前』となっていることを見つめ直し、『地域の魅力』として再発信しましょう」と問題解決の一つの方法として永田所長が州政府に同プロジェクトを提案し、採用された。
 試験店舗の設置計画を進め、関係者向けにセミナーを実施してきた。プロジェクト内容に興味を持ったサンタカタリーナ州から指導依頼も来た。永田所長は「現地事務所だからこそ出来たことです。プロジェクト自体は今後も州政府が続けていきますが、最後まで見届けられず残念です」と語り、同プロジェクトを始めとするこれまでの活動への協力者全員へ感謝を述べた。
 事務所閉鎖後は連絡員を1人配置し、県関係者が当地に来る際は案内などの対応を続ける予定。事業経費が出なくなるため、プロジェクト実施やイベント開催は行えなくなる。連絡員配置については3月中旬以頃発表される。
 永田所長は3月14日に帰朝予定。今後の配属先は現時点で未定。

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