《ブラジル》帰国、それとも残留?=ウクライナ在住者の選択=神父「ここで務めを全うする」

5日間かけてウクライナを脱出したサッカー選手のエジソン・フェルナンド(右端)ら(2月28日付G1サイトの記事の一部)

  【既報関連】2月24日(ブラジリア時間では23日深夜)に始まったロシア軍によるウクライナ侵攻から1週間が経った。同国にいたブラジル人の一部が既に帰国する一方で、同国を脱出する事ができない人達や同国に留まる事を希望する人達もいると2月27、28日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
 最初に帰国したグループはドニプロ1に所属していたサッカー選手で、元シャペコエンセのブサネロ、元パルメイラスのフェリッペ・ピレス、元フラメンゴのビルの3人が、2月27日にサンパウロとリオの空港に降り立った。
 三人はドニプロ市(キエフから446キロ)から車でルーマニアを目指したが、最後は徒歩で国境を越えたという。
 また、シャフタール・ドネツクとディナモに所属し、キエフ市内のホテルの壕に逃れていたサッカー選手とその家族は、2月26日にキエフから535キロのチェルノフツィ市に向かう列車に乗り込み、同27日にバスでウクライナを脱出。ルーマニアのブラジル大使館によると、一行はブラジル人37人とウルグアイ人2人の計39人だったという。
 このグループはモルドバとの国境まで行った後に二手に別れ、一方はそこに滞在。もう一方はルーマニア経由でブラジルに戻ったという。

キエフ市役所サイトにある「領土防衛隊」のページ(グーグル翻訳した画面)

 ウクライナから脱出したサッカー選手達は、欧州サッカー連盟(UEFA)から、ハンガリーの首都ブカレストでの道路輸送費や宿泊費を払うといった形での支援を受けたという。また、ウクライナから脱出したブラジル人は、各国にあるブラジル大使館や人道団体からの支援も受けている。
 ボルソナロ大統領は2月27日に、ウクライナから逃れたブラジル人の帰国支援のため、KC―390型の空軍機2機を派遣する事を承認した。ただし、ウクライナから全員が出国できていない事もあり、1日に予定されていた空軍機の派遣は2日になっても行われていない。
 ウクライナを脱出したブラジル人達は「満員の列車の中で17時間立ち通しだった」とか「壕に隠れていたが水や食べ物がいつまで持つか不安だった」「トイレに行っている間に他の人達が駅に向かい、置き去りにされてしまった」「車が動かず、徒歩で国境を越えようとしたが、男性は通らせてもらえず、列に並びなおした」「ハンガリー行きの列車に乗ろうとしたが、一杯で乗り込めなかった」「5日がかりで国境を越えた」といった切実な声を上げている。
 なお、多くの人がウクライナからの脱出を試みる中、2004年からキエフ市で布教活動を行っているカトリックのルカス・ペロジ・ジョルジェ神父(36)は、「私はここで務めを全うする」と明言。同神父が働いている教会はキエフ市民の避難所の一つとなっており、子供も含む約30人が身を寄せている。

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