自宅付近で銃撃強盗発生=避け得ない悲劇との向き合い方

事件現場となった通り(記者撮影)
事件現場となった通り(記者撮影)

 18日付1面コラム「おしゃべりパパガイオ」に書いた「学校へ子供を車で送りにきた父親の胸を強盗が銃撃した」という事件は、実は、コラム子の自宅のすぐ近所で起きたモノだった。
 17日午前6時30分頃。サンパウロ市南西部ヴィラ・アンドラーデ区の小中一貫型私立学校の前に、バイクに乗った四人組の強盗が現れた。学校はコラム子の住むアパートの目の前にある。ブラジルの場合、生徒の学校への送り迎えは父兄が車で行うことが一般的で、その日も校門前には送迎の車が溜まっていた。
 強盗たちは付近の親たちから携帯電話や所持品を奪っていった。だが、その時、強盗の一人が子供に手を出そうとし、その子供の父親が強盗を押し倒した。父親は強盗から胸に銃弾を浴び、昏睡状態で病院に運ばれた。
 事件の瞬間、妻は出勤のため家を出ようとしていたところで銃声を耳にし、1日中動揺していた。コラム子も1時間後に娘を幼稚園へ徒歩で送る予定だった。
 ヴィラ・アンドラーデ地区は閑静な新興中流住宅街で「第2のモルンビ」との呼び声もある。ショッピングセンターや新築のアパートが多く、交通の便も良いことから「向こう10年で住人増加が見込める街」として期待されている。
 コラム子の家の周辺には学校が多く、事件以来、周辺の学校も警備を厳しくした。事件の起きた学校に至っては軍警と警備隊を配備する厳戒態勢だ。
 ここまで警備が固いとそれが原因で発生する事件もある。思い出してみれば、今から5年ほど前、今回の事件現場から坂を上がってすぐの大通りで、10代前半の黒人少年が車を盗んで逃走。そこへ軍警が過剰反応気味に銃撃を浴びせ死亡させる事件があった。事件後、銃撃現場跡には人だかりが出来ていたが、当時のコラム子は無意識に歩き過ぎていた。翌日、全国的ニュースになって驚いたことを思い出す。
 「安全」と思われる地域でも事件は起きる。悲劇的事件はそれがどこであろうが場所を選ばずに起きてしまう。気を付けるべきことには気を付け、必要以上に恐れることなく、前向きに生きるのみ――。そう身に沁みて感じさせられる一件だった。(陽)

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