《ブラジル》コロナ禍=ピーク越えの兆候が明確に=感染や入院死者も減少へ=国産ワクチンの接種開始

感染者の毎日の推移(保健省公式サイト)

 1月はオミクロン株拡散でかつてない勢いでの新型コロナの感染拡大を見たブラジルだが、22日は感染者の7日間平均が10万人を切り、実効再生産数(Rt)も1を割り込むなど、感染減速がより明確になっている。ようやくピーク越えとの専門家の声が聞こえてきた。
 2月後半に感染者数減少が始まる事はペロタス連邦大学の研究者達も予告していたが、感染減速傾向は、ロンドンのインペリアル・カレッジが流行状態の中で各感染者が直接感染を広げる人の数を表すRtを1・22から0・97に引き下げた事でも確認された。Rtが1を超えると感染者が増えるが、1を切ると減少する。
 22日現在の感染者は7日間平均9万8896人となった。10万人を切ったのは1月19日の9万9974人以来で、1日の18万6985人と比べると47・1%減少している。
 他方、死者は累計64万5420人で、7日間平均は819人となった。死者の7日間平均は11日の951人比で13・9%減少した。800人超の状態は8日の820人以来15日間続いており、明確な減少傾向とはみなされていない。

死者の毎日の推移(保健省公式サイト)

 それでも、観察中の感染者は219万9923人で、感染者全体の7・9%に減少。観察中の感染者減少は、サンパウロ州の病床使用率が50%を割るなどの形でも表れている。
 22日は100%国産の新型コロナワクチンによる予防接種も行われた。完全国産ワクチンは、英国のオックスフォード大学とアストラゼネカ社が開発したワクチンの有効成分がオズワルド・クルス財団(Fiocruz)によって国産化された事で実現した。
 オックスフォードワクチンの国産化は同ワクチンの購入契約を結んだ時からの約束だったが、実現が遅れた。国産ワクチンによる初接種はケイロガ保健相の手で行われた。
 欧米諸国などでは補強接種の進展や感染者数減少などを受け、入国規制や外出規制を緩める動きが出ており、ブラジルでも今年のカーニバルは規制付イベントの最後の例となるとの見方も出始めた。だが、規制を緩めた国でもワクチン接種の継続やマスク着用、手指消毒を奨励する傾向があり、規制緩和は慎重に進める必要がありそうだ。

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