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ロライマ州ボアビスタの日系コミュニティ=少数精鋭、尊敬される日系人 5=ロライマ日伯協会ができるまで

6歳頃のシロミルさん(前列左から2番目)とケンさん(後列左)
6歳頃のシロミルさん(前列左から2番目)とケンさん(後列左)

 ANIR(ロライマ日伯協会)の代表を務める日系2世の江田シロミルさん(43、ボアビスタ生まれ)は、ANIRの代表に3度(各2年)選出されるなど、ボアビスタ日系社会のリーダーとして信望を集める存在だ。
 ANIRが2008年に設立されるまで、シロミルさんの父親・広(ひろし、故人)さんの自宅が日本人協会の役割を果たしてきた。ロマイラ州を訪れる日本人・日系人のための民宿兼道先案内所としても知られ、日本の領事からバックパッカーまで様々な人々の交流を支えた。
「父以外の人々は客人を迎えることに慣れていなかったため、自然と父のところに人が訪れるようになったのではないかと思います。私が6歳の頃、自転車で世界一周旅行をしているケンさんという人が家を訪れたときのことは強く覚えています」

創設14年の若い日系協会

 ブラジルの日本移民史は今年で114年目を迎え、半世紀以上の歴史を持つ日系団体も珍しくなくない。それに比較して、ANIRは創設14年の若い日系協会だ。2008年にブラジルの日本移民100周年を記念して発足し、翌年2月にはIRCJ(ロライマ日本文化研究所)を設立。ロライマでの日本語の授業や日本文化の普及の活動を開始した。
 当初は協会として登録しただけで、特定の施設を持たなかったため、FARES(ロライメンス高等教育大学)の施設を利用して日本語と日本文化が教えられた。

高級住宅街に市から土地を獲得

 ANIRは2012年、ボアビスタ市から土地の寄付を受け取った。現在の施設がある場所は、同市内で最も閑静な住宅街カサリ地区の一角で、約1万平方メートルの敷地は、シロミルさんのいとこで、元ボアビスタ市議会議員で元ロライマ州議会議員でもある江田マサミ氏(43歳)が、市議会議員時代に建設用地の寄付に関する法案を提出し、同市から寄付を実現させた。
 当時、ボアビスタ市長だったのがイラジルソン・サンパイオ・デ・ソウザ氏(69歳)で、同氏はロライマ州の日系人について「最大の貢献は農業分野。養鶏や野菜作りをロライマ州に最初にもたらしてくれました。現在では最大の稲作生産者でもあり、働き者で誠実、知的で相手を尊重する人柄で、ロライマ州の人々からも大変尊敬されています」と評する。
 ソウザ氏はペルナンブコ州サン・ジョゼ・ド・エジット出身で、ペルナンブコ連邦農村大学(UFRPE)を卒業した獣医。ロライマ州開拓のパイオニアを代表するノルデスチーノの一人として、1976年に移住した。1988年に副市長として選出され、以後、副市長を1回、ボアビスタ市長に2回、州議会議員に3回選出され、現在はロライマ州ブラジル社会党(PSB―RR)の党首を務めている。
 現在ロライマ州最大の稲作農業者である市川ネルソンさんが移住時に世話をして以来、両氏は親しい関係にあり、ANIRのオープニングにはソウザ氏も来賓として招待された。
 今回、ソウザ氏を訪問すると、大変快く迎え入れてくれた。これも同地の日系人の評価の高さによるものだ。(取材・執筆/大浦智子、つづく)
【ソウザ氏への取材協力】アブドゥルバセット・ジャロールさん

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