《ブラジル》セントロンがボルソナロ副候補にテレーザ熱望=女性票と農業部門に強み=長男が父親を説得中とも

テレーザ氏(Wilson Dias/Agencia Brasil)

 ボルソナロ大統領(自由党・PL)の協力勢力である中道政党群「セントロン」が、大統領選副候補にテレーザ・クリスチーナ農相(民主党・DEM)をとボルソナロ氏に圧力をかけ始めている。8日付現地紙、サイトが報じている。
 10月に行われる大統領選では、アミウトン・モウロン副大統領がリオ州知事選もしくは上院議員選への出馬に興味を示しており、3月いっぱいで辞任することが有力視されている。
 モウロン氏はボルソナロ氏との関係が良いとは言えず、大事な会議には呼ばれないこともしばしばで、ボルソナロ氏から「義理の兄みたいなもの」と称されるなど、関係の薄さが目立っていた。
 ボルソナロ氏は副候補に軍人を物色し、バルテル・ブラガ・ネット国防相やアウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)長官らを希望していると言われている。だがセントロンは、「それでは弱い」と判断し、同氏のシャッパ(連立名簿)に自分たちの意向を盛り込もうとしている。そこで白羽の矢が立っているのが、テレーザ氏の存在だ。
 彼女はボルソナロ政権の閣僚の中でも手腕を高く評価されており、以前から「副候補に向いている」と称されていた。
 同氏を副にという話が現実味を帯びてきている理由の一つは、テレーザ氏が新政党「ウニオン」に発展予定のDEMには残らず、シロ・ノゲイラ官房長官が党首を務める進歩党(PP)に移籍する予定だからだ。

 ボルソナロ氏が大統領選の世論調査で女性票で大苦戦していることも、テレーザ氏が推薦される大きな理由だ。ボルソナロ氏は2018年の大統領選で、女性有権者たちから「エレ・ノン(彼ではダメ)」の抗議運動を起こされた経緯があるが、その後も女性の印象を上げるようなことはしておらず、むしろ差別的な言動の方が目立っている。
 ここ数日間でも、大統領三男エドゥアルド下議がサンパウロ市のマルジナル・チエテの陥没事故の後、「女性が工事責任者だからこういうことになる」と語る動画をネットにあげ、諸方面から強く批判されたばかりだ。
 また、テレーザ氏は現農相であるだけでなく、農牧畜系議員前線(FPA)元会長の農学博士で、農業界からは絶大な支持を得ていることも大きいと判断されている。
 大統領選での農業部門の影響は非常に大きく、現在、世論調査で1位のルーラ元大統領がジェラウド・アウキミン元サンパウロ州知事を副候補に迎えたがっている大きな理由の一つも、同氏が農業部門に強いからだと言われているほどだ。
 こうした状況下、現地紙は、大統領長男のフラヴィオ上議(PL)がボルソナロ氏に対し、副候補には軍人ではなく、テレーザ氏を据えるよう、説得し始めたと報じている。
 一方で、当のテレーザ氏は上院選への出馬を希望と公の場で発言しており、同氏をボルソナロ氏の副候補に据えられるか否かは、その意向を覆せるかにもかかっている。

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