ブラジル初、和梨の蒸留酒=芳醇な香り『サンヴェルジェ』

原料となる和梨と蒸留酒「サンヴェルジェ」(同社インスタグラムより)
原料となる和梨と蒸留酒「サンヴェルジェ」(同社インスタグラムより)

 サンタエルシリア・ホールディングス(滝口マルシオ・コウイチ最高経営責任者)は、日本梨の豊水を使った珍しい蒸留酒「サンヴェルジェ(St Verger)」を2019年から好評販売中だ。
 豊水といえば甘味が強くてやさしい酸味があり、果汁をたっぷり含んでいる和梨。この商品は豊水のそんな特徴を活かしたお酒だ。上品で芳醇な香りを堪能できる。
 

滝口マルシオ・コウイチ最高経営責任者と同社顧問をする宮坂国人財団の松尾治副理事長
滝口マルシオ・コウイチ最高経営責任者と同社顧問をする宮坂国人財団の松尾治副理事長

サンタカタリーナ州西部は、梨づくりにとても適した地域だ。そこに蒸留酒の材料となる豊水を収穫するピラポラ農園がある。毎年1月になると豊水の収穫が始まる。大変な手間をかけて栽培するが、収穫高のおよそ20%が市場で売り物にならない規格外だった。
 5年前、同社の滝口最高経営責任者は豊水梨農園で、規格外の廃棄を防ぐための代替策を探していた。そこで豊水を使ったこの商品を開発した。
 以前、USP農学部ルイス・デ・ケイロス校との共同研究により、純粋な洋梨蒸留酒を作っていた。ヨーロッパ産の洋梨を使ったフランスのブランデー「ポワール」にヒントを得たものだ。これを豊水で作ろうとしたが、残念ながらこの製法による生産には経済的に無理があることが判明した。1リットルの飲み物を作るのに、100キロの梨が必要だった。

豊水が実っている様子
豊水が実っている様子

 そこでオーガニック製品認証のあるサトウキビのアルコール蒸留液をベースにして脱水した梨を冷煎したものと果肉で蒸留を仕上げた。こうして化学者のエルウィン・ウェイマン氏との共同開発による「果実のスピリッツ(蒸留酒)」が誕生した。
 サンヴェルジェは南大河州イヴォチ市のウエイバーホウス蒸留所で製造されている。
 これまで、実質的に破棄されるか、ジュース業界に安く売られていた豊水梨を活用して、現在では18万から25万本の高級・高付加価値蒸留酒の生産を実現している。
 「サンヴェルジェ」とはフランス語で「聖なる果樹園」という意味。化学農薬を極力使わずに栽培された果実として、オーガニック認証もされている。
 「サンヴェルジェ」は700ml入り、アルコール度数は40%と強め。カクテルにしてもハイボールにしても梨の風味が損なわれない。軽い口ざわりも特徴だ。
 ネット価格は140レアル前後。サンパウロ市の高級スーパー「カーザ・サンタルジア」(Alameda Lorena, 1471 – Jardim Paulista, São Paulo )や一部レストランでも取り扱っている。
 なおブラジル国内限定で配送している。WhatApp(11・95656・1491)。詳細は同社サイト(https://www.stverger.com.br/)まで。

 

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