ニッケイ新聞 2013年1月31日付け
波乱の生涯を送った元代議士・山崎釼二(1902―1958、静岡県)は55年前の31日、聖市のサンタクルス病院(旧日本病院)で一介の戦後移民としてひっそりと亡くなった。戦前に社会大衆党から衆議に登りつめ、大戦中にはボルネオの県知事に任命されるなど一世を風靡した人物だった。ところが、そこで出会った現地の娘アインと結ばれて子供をもうけ、終戦後に正妻が待つ日本へ連れて帰国したことから〃二人妻事件〃として世間を騒がせ人生の岐路に立った。釼二がアイン名で書いた本を原作に、高峰三枝子がヒロイン役を演じた映画『南十字星は偽らず』が制作されるほど話題になったが、政治家に返り咲くことができずアマゾンへ移住した。戦後移住60周年を記念し、元有名人移民の知られざる後日談を含めて紹介する。(敬称略、深沢正雪記者)